R A D I O H E A _ D @さいたまスーパーアリーナ

本当は先週の日曜に、国際フォーラムでのLenny Kravitzを観に行く予定だったのだけど。1週間前になって公演中止発表。確かにチケット売れてなかったっぽいしな、とは思いつつも新作は凄く良い出来だったのに残念。
Lenny Kravitzは、92年とか93年くらいにも武道館のチケット取ってたのに、仕事が忙しくてチケットを腐らせたことがあり、その時以来のリベンジになる筈だったのに、本当に縁が無いなあと。


だからという訳ではないけれど、ヤフオクRadioheadのチケットを取って行く事にした。
元々、Radioheadはそんなに好きなバンドでもなかったんだけれど、相変わらずメディアは煽ってるし、久々に聞いてみると実はいいじゃん!とか思っちゃったし、チケットも安かったし(定価\9,500を\5,500で落札。しかもアリーナ最前ブロック。つっても2000人はいたが)、半分憂さ晴らしもできるし、まあいいか、と。新作を聴いていないのが気になったけど。("In Rainbows"は実質無料でダウンロードできたのに、ダウンロードしようと思ったらその前日までで期間終了してたのだ!!!)


しかし、Radioheadって世界的な立ち位置ってどうなんだろうか。たぶんColdplayの方が売り上げは上のような気はするけど、OasisよりはRadioheadの方が売れてるのかも。


ともあれ、浪人中にU2の感動的なライブを観て以来のさいたまスーパーアリーナ。Openが15:30、Startが17:00という大胆な時間設定ながら、日曜の埼玉と考えるとこれはこれでいいのか。多分、客の平均年齢は20代半ばあたりだろうし。
前座が1時間くらいあるという情報だったので、中に入ったのが17:50くらい。前に行ってギュウギュウ詰めのモッシュで見る気にはならん(体力的にも不可能)し、ブロックの後ろの方、それでも当然ながらBブロックの最前でギュウギュウの状態で観ている人々よりも前だが、とにかくかなりゆったりめのスペース。


ロックコンサートの醍醐味の1つは、客電が落ちて、バンドがステージに出てきて最初の一音を鳴らす瞬間の、あの、エネルギーの爆発だと思うんだけど、今日のRadioheadはまさにそういう感じ。1曲目は新譜から(当然か)だったので、俺は初めて聴いたことになるけれど、それを感じさせないパワー。
2曲目が"Airbag"で3曲目は"Just"という重量級ナンバーではイントロで場内騒然。渋谷陽一大先生は以前、ボリュームをあげて激しくやるのは誰でも出来る。大きな音で鳴らす必然性を持っているロックこそがハードロックだ(だからBon Joviはハードロックじゃねえ)、みたいな事を言っていたけれど、Radioheadをハードロックバンドと言う人間は少ないだろうが、AirbagとJustはまさに観てて、「こりゃ、完全にハードロックじゃないか!!」と思った。


この日、一番ヤバかったのは"Idioteque"で、ビートに乗っかって目を瞑ってゆらゆら踊ってたら、ちょっとトビそうになった。「うわ、やべえ」と思って途中で目を開けて一瞬我に返ってまた繰り返し。ロックのコンサートであんなになったのは、久々である。
アンコールに入っての"Paranoid, Android"は、改めてライブで聴くと、前戯で焦らし焦らされしながら、爆発的なクライマックスがキター、って感じでセックスしてるみたいだったし。
あとは、"Karma Police"が聴きたかったなあと。



今までRadioheadをマジメに聴いていなかった最大の理由は、デビューした当時に聞いた1stがイケてなかったという印象が強くて、それは今でも変わらず、"Creep"はそんなに凄いナンバーとは思えないんだけども、そのせいで2ndも比較的on timeで聴いた筈だが、どうにもイイとは思えなかった点。
それからは「ああ、Radioheadね。なんかああいうアート臭さは俺には合わんわ」という先入観が先にたってほとんどマジメに聴いたことがなく。
例えば、Coldplayもアート臭いけど、清く正しいアート臭さというのは、ウケがいいのね。スッと入ってくる。Radioheadの場合はそのアート臭さが、陰の部分に因るところが大きいので、とっつきにくさがあるのがちょっと、みたいな。(Oasisにはアートの欠片もない)


で、今回は事前の予習の時点で、「おお、実は結構いいじゃん!」まで進んだのが、ライブを見て一気に「めちゃくちゃイイじゃん!!!」になってしまったと。
OK。誤解を恐れずに言えば、Radioheadはブリティッシュロックの歴史のある種の良質な部分を90年代モードあるいは00年代モードとして体現したバンドだと言えるでしょう。Coldplayは伝統的なブリティッシュ歌謡ポップだとは思うけれど、ロック的かというとちょっと「?」と感じるが、Radioheadはまぎれもなく「ロック!」なわけで。
いや、ホントに、ロックの持っている爆発力みたいなものを改めて再確認した夜でありました。


15 Step
Airbag
Just
There There
All I Need
Pyramid Song
Weird Fishes/Arpeggi
The Gloaming
Myxomatosis
Faust Arp
Knives Out
Nude
Optimistic
Jigsaw Falling Into Place
Idioteque
Fake Plastic Trees
Bodysnatchers


Like Spinning Plates
Videotape
Paranoid Android
Reckoner
Everything In Its Right Place


Go Slowly
My Iron Lung
How to Disappear Completely



「杯 -カップ-」沢木耕太郎
「幽霊たち」ポール・オースター
「オレンジの呪縛」デイヴィッド・ウィナー
「国家と犯罪」船戸与一
日の名残りカズオ・イシグロ
「冒険の国」「リアルワールド」桐野夏生
「官邸崩壊」上杉隆
ネプチューンの迷宮」佐々木譲
「モロッコ オン ザ ロード」ロバート・ハリス


桐野夏生の2冊。
「冒険の国」は幻の作品らしい。本人があとがきで「冷汗が出るほど拙い」「浅い」「練り込み不足」と書いているが、読んでいてまさに「未熟な物書きが桐野夏生風に書くとこうなる」と感じた。ミロシリーズの「顔に降りかか雨」あたりも、ただのミステリーに過ぎないと思うが、2作目の「天使に見捨てられた夜」から内面世界の描写力が超人的に向上して、それが「OUT」でピークに達したという流れがよく判る。桐野夏生の進化を見るうえでは貴重な1冊。
「リアルワールド」は、あー上手いなーと。これまでに読んだ桐野夏生の長編としては「玉蘭」と共にベスト5には入る出来でしょう。ちなみに1位は文句なしに「OUT」で、2位は「天使」。「玉蘭」とこれが同率3位という感じかしら。


「官邸崩壊」は、いわゆる内幕物だけども、まあこういう感じなのね、みたいな。全部が全部事実かどうかは多少疑問も残るが、相当部分はそうなんだろうなあ。