フンジュラブ・パス

中パ国境付近

昨日はカシュガル13:00発のバスで、タシュクルガンまで10時間かかった。
途中、土手から落ちたバスの引き上げをやってて、まあここ2〜3日以内に落ちた感じだったんで、ラオスの件もあって、ちょっとビビる。(しかも、俺のバスと同じ会社、全く同じ塗装のバス)

で、23:00ということで、いくら何でも着いた時は真っ暗だった。
明日は何時出発かと車掌に聞くと、10時とのこと。

北京時間か新疆時間かと聞くと、北京時間ということで一安心。
中国はこんなにデカいくせに、一番東寄りの北京標準時しかないんだけど、非公式に新疆時間というのが存在して、北京時間-2時間となる。なんで、乗り物の時間とかホテルのチェックアウト時間は、「北京時間の12時なのか、新疆時間の12時なのか」といつも確認しないといけない。
しかも。
タシュクルガンまで来ると、さらにパキスタン時間で動いているパキスタン人もいたりして、もうワケわからん。


まあ、とにかく、今日も10時からバス。
ただ、中国出国のイミグレ&カスタムが町外れにあって、ここで2時間待った。
2時間待った。。。


仕方ないと言えば仕方ないんだが、やたらと出国審査に時間がかかる上に、パキスタン人の運び屋のおっさんがとてもとてもたくさんの荷物を運ぶ(屋根の上に満載)んで、この検査に時間がかかる。
そんで、バス自体は中国のまあ標準的なバス(とはいっても絶対に日本では走ってないし、そもそも車検通らないようなやつ)なんだけど、屋根の荷物の重みと、しかもめちゃくちゃにバンピーな道路のお陰で、屋根がたわむたわむ。最初は「これ、屋根抜けたらネタになるなあ」と思ってたんだが、実際屋根が抜けたら、大ケガか、打ち所が悪かったら死んでも不思議じゃないなあと思って、けっこうキョーフ。


ともあれ、実質的にはなんだかんだで北京時間の12:30にタシュクルガンの町を出た。
道路は昨日同様、よろしくなく、かつ上りということもあり、国境までの約150kmに5時間くらい。。。


ただしただし。
国境の峠付近(地図上ではパミール高原の一部らしい)の景色はすばらしかった。
ありゃあ、死ぬまで忘れんわ。


白い雪を被った山と、そこからの雪溶け水で川が流れてんの。
その川を中心に野原があって、アライグマみたいのが、ちょこちょこ歩いて顔だしてんの。
俺みたいなやつでも「チキショー、カワイイじゃねえか!」と思ったりすんの。
そんで、緑の野原だけじゃなくて、土砂や岩がむき出しの所もあるんだけど、そこと緑のコントラストと、太陽の反射で川も光って、めちゃくちゃ綺麗なの。


そんでそんで、俺ら外国人パッカー(日・韓・米・仏・西・アイルランド・オランダ・香港の総勢10人くらい)が、ボーッっと窓から外を見てたら、パキスタン人のおっさん連中が、騒ぎ出して、「おお、アイベックス」じゃないか、と言っててどうもシカの1種らしいんだが、「珍しいのか」と聞くと、夜になると下におりてくるけど昼間はあまり見れないというので、そうか珍しいんだな、と思い込むことにした。思い込みは大事。


それはともかく、今まで旅してきたうちで、間違いなく3本の指に入るような景色だった。

ネパールでトレッキングしたときも、「すげーいい景色」と思ったけど、それとは全然違って、なるほど山岳信仰というものの存在とか、山の神様という言葉が判る気がした。(マジで、ちょっと、泣いた)


そんで、国境を越えたところで、ちょうどタイミング良く、バスが故障して30分くらいストップしたお陰で、外国人パッカーの皆さんのための写真撮影タイムもあって、あれはラッキーだった。


峠を越えてからはずっと下りで、はるか上の方を仰ぎ見ると、雪山があるんだけど、周囲はガケと土砂、そのすき間から上から落ちてきた雪解け水が流れ出してるだけで、ダイナミックといえばダイナミックなんだが、国境が凄すぎて、もうタイクツですって所に、パキスタン側の町ススト到着。


ただ、これも結構劇的で、茶色というか土色の谷間の向こうから、緑の町が見えてきて、思わず俺も含めた外国人パッカーの人々は「おおっ。すげえ緑だあ! あれがスストの町?」と声をあげて、あれはきっとパキスタン人のおっさんには、「コイツら、一体何が嬉しいんだ」くらいに思われても不思議じゃないくらい、みんなニコニコしてたのであった。
まあ、みんな、ここまでたどり着くのに、そんなにラクして来たわけでもない(スペイン人はチャリンカー!)んで、その分の喜びもあったんだろうけど、これくらいのご褒美は貰ってもいいよなあ。いや、まさに神様がくれたご褒美。


基本的にバス移動は大嫌いんだけれども、こういうのなら何度乗ってもいいよ。


ところで、パキスタンに入って初日の晩メシは、いきなりカレーとチャパティ。。。。。
昨日はチンジャオロースーだったのに。