歯磨き粉

チベット以降は広州に戻るまで、ほぼ毎日のように着ていたジャージ。襟元とか袖口は、たいがい真っ黒になってて、ここまで来ると暖かくて着ることもないので、クリーニングに出した(ドライクリーニングは、"干洗"と、ほぼそのまんまの表記)んだけども、思ったほどキレイにならずにちょっとショック。
エジプトで、同じく着たきりだったジャージを出した時(あれはおそらく水洗い)は、めちゃくちゃキレイになったのに。帰って自分で水洗いするべきなんだろうか。



まあ、いいや。
歯磨き粉だ。
そもそも、未だに歯磨き「粉」と言うんだろうか。俺が物心付いた時からすでに「粉」ではなかったが、ウチでは歯磨き粉、と呼んでいたため、一般にどう呼ばれているのか、よくワカラン。練り歯磨き、というべきなのか。


現在使用中の歯磨き粉が、ほぼ終わりに近づいてきた。チューブにはアラビア文字で色々と書いてあるんで、エジプトで買ったものだと判る。
それはいいんだが、俺が物心付いた時の歯磨き粉は、アルミのチューブに入っていた。少なくとも現在35歳以上の人々にとっては、理解できると思うが、あれは一旦シワになるとなかなか真っ直ぐに伸ばすのが大変で、今考えると、別にシワになったからといって大した量が無駄になっていたとも思えないのだけど、人々はあれを結構必死になって伸ばしていたのだ。
それが、ビニール(プラスティック?)のチューブ入りになって、シワができなくなったことで、人生において発生する数多いつまらん悩みが1つ解消されたワケだ
が、チューブに残った最後の部分を如何にして簡単に使い切るか、という次の悩みは未だに完全には解消されてはいない。


2人いれば、問題は簡単に解決するのだ。
1人がチューブを両手で搾り出すところに、もう1人が歯ブラシを差し出して受け止めればよい。
しかし、これを何とか1人で上手いこと搾り出して、歯ブラシに乗っけることができないものか。
これを1人でやった場合、何とか最後まで搾り出して、「よし、きた!」と思い、歯ブラシに持ち換えると、ケンメイに搾り出した歯磨き粉は、シャッターを押そうとした瞬間に巣穴から首を引っ込める砂地のハゼのように(潜る人にとっては理解できる表現)、チューブに戻ってしまう、という経験は誰にでもある筈。


これ、解決したら特許モンじゃんか、などとツマラン事を考えながら、今夜も必死にチューブを絞るのであった。