教養

夜仕事の後に、T坂さん、K田さん、M村さん、O野さんで、赤坂の裏の方を歩いていたら、前から黒塗りの車。手前の安そうな料亭の前でカメラが張っている。
おお、誰? とか思っていたら、森喜朗だった。ただのおっさん。安そうな料亭に入っていった。


そう言えば丁度いま細川護熙の総理大臣期の日記を読んでいるのだが、これが非常に興味深い。裏話もさることながら、細川護熙という人が、まあ要するに教養人ということがよく判る。誰もが知っている当たり前と言えば当たり前の事なんだけど。
そして、政治というのは、矛盾する利害関係の調整作業であって、総理大臣というのはその究極の仕事なのだなあ、とつくづく実感。


ところで、細川護熙と言えば、字が上手いらしい。俺にはよく判らんが。
それこそ連立首班の頃だったんだろうが、たまたま福岡に帰省でもしていたんだろう、細川の書いた色紙の映ったTVを見ながら一緒に見ていた母と叔母が同時に
「うわあ、立派な字を書くねえ」
「やっぱり小さい頃からちゃーんと教育されとるけん」
「昔の政治家はみーんなこういう字を書きよったけどねえ」
「揮毫頼まれても、恥ずかしか字しか書けん人もおらすもん」
そういうものなのか。
ちなみに母は、恐らく自分自身の事を字が上手いと思っている。実際、なにやらの免状も持っているらしい。
その母が、「あー、あの人の字には敵わん」というのがこの叔母である。


そういう母は、俺の書く字が汚いのがどうにも気に入らない。
というか、どっちかというと、自分が息子にまともに字の書き方も教えていない母親だと他人に思われるのが嫌なのだろう。
実際には何度も教わった(それこそ"永"なんて何枚書かされたやら)し、習字の塾にも行かされたのだが、残念な事に彼女の息子は美しい文字を書くということには全く興味を示さなかった。もっとも、読む方に関しては比較的興味を持ったので、その点においては彼女は多少満足していると思ってるんだが。