入エジプト記

エルサレムからカイロへの移動。


イスラエルとエジプトの間で使える国境は2つ。
北の端のガザ近くにある国境と、南の端のエイラット〜ターバー間。
当初は普通に北の国境を越えようと思ってた。幼稚園児が地図を見ても、そっちの方が近道と判る。
ところが、どうもガザの方は普通に越えられないらしい。エジプトから来た奴等に聞いても、みんな南から。代理店が出してるバスも、話を聞くといったん南に下りて、国境を越えてからカイロに北上とのこと。


北から越えれば、朝出れば夕方にはカイロかなあ、と地図だけ見てテキトーに考えてたところが、すげー遠回りで、一日余計にかかるじゃないか。ただでさえ残り日程が押してきてる気がするのに。


さらに調べる。
南の国境を越えてエジプト側の街ターバーからカイロへのバスは10:30/12:30/16:30の3本。
このうち、12:30というのは有り得ない。
エルサレムを一番早く出る10:00のバスに乗っても、イスラエル側の国境の街エイラットに着くのが、14:00だから。つまり普通にエルサレムを出て、エイラットで夕方16:30のバスに乗り継ぐか、ここで1泊して朝国境を越えて10:30のバス。
しかし、16:30のバスだとそこから7時間で着いてもカイロ着24:00近いって、これもちょっと嫌だ。土地鑑のない街、しかもカイロみたいな所に真夜中は有り得ない。
代理店の出してるバスは、まさにこのパターンで、夕方国境に着いて、カイロ着深夜。しかもなんだかんだで100ドル以上もするので即却下。


えー。どうしよう。エイラットで1泊して、結局1日ロスっちゃうのかよ。
と思ってさらにさらにいろいろ調べる。これとは別にテルアビブにサッカーを観に行くというオプションがあって、これに伴ってテルアビブ->エイラットのバスを調べる。どうせエルサレムと大差ないだろうと思ってたら、テルアビブ0:30発のナイトバスがあることが発覚。


おお。これを使えるのか?
そうすると、朝エルサレムからテルアビブに移動して、ぶらぶらして20:50からのナイトゲームを観て、それからこのバスに乗れば、早朝エイラット着。
そんで国境越えて10:30のバスに乗れば翌日夕方にはカイロじゃないか!
まさに俺のためにあるようなバスだ。


ということで、これに挑戦することにした。問題点は2つ。
その1
エイラット行のバスは慢性的に混んでて予約が必要とのこと。これが取れるのか。
その2
テルアビブのバスターミナルにLeft Luggageがあるのか。イスラエルはとにかくどこに行ってもセキュリティが超キビシイ。ちょっとしたスーパーに入る時でも、荷物チェックがある。ビルやバスターミナルでも当然。アメリカ系だからか、マクドとかバーキンでもチェックがある。こんな国のバスターミナルにLeft Luggageなんかあるのか? なければ、荷物を担いだままテルアビブをぶらぶらするなんて不可能。




昨日の朝7:30起床。準備してチェックアウト。
エルサレムのバスターミナルに行って、9:00のテルアビブ行。この時、試しにエルサレムのターミナルでLeft Luggageを探したが見つからず。
10:30、テルアビブ着。Left Luggageは見つからなかったが、ダメ元でInformationで尋ねてみると、「ある」とのこと。どうやらオフィシャルなのではなくて、売店が副業でやってるらしい。教えられた店に行って尋ねるとOKだった。
あとは、深夜発のバスチケ。窓口へ行って、イマイチ英語が通じなかったんだが、席があって取れた。よっしゃ。これでテルアビブ泊はナシ。目論見通りに行けば、最速でカイロに着く。


荷物おいて、iで地図を買って、スタジアムの位置を確認。その後、街をぶらぶら。
当然ながらエルサレムと違ってほとんど歴史のない近代都市なんで、どうという所はない。イケてないが、ショッピングモールもある。


お店に入って服とか見てると、ボソボソと店員の話声。ヘブライ語ながら
"Levi's jeans, superstar..."
というのだけは聞こえる。どう考えても俺のことじゃん!!!
で、店員のお姉ちゃんが話し掛けてきて、「日本人?」というので、そうだと答える。
ありがちなパターンながら、日本に居たことがあると。(何を売ってたのかは聞かなかったがwww)
しかしLevi'sはともかく、スニーカーはnikeのAF1あたりの方が圧倒的に日本人男子の典型だと思うんだが。。。


夜、スタジアムへ。
あまり残りの現金がなく、チケットの買い方もよくわからず、テキトーにお兄ちゃんに声をかけて、余ったチケットをドルで買う。80シュケルのチケットに20ドル払う。
試合はマッカビ・テルアビブvsマッカビ・ハイファ
どうも巨人阪神みたいなもんなのか。俺が買ったのはハイファ側だったが、ハイファサポもかなり数が多い。スタジアムはほぼ満席。


テルアビブは、黄青のキット。胸のスポンサーはHONDA。
7番が白人のスキンヘッドで、黄青もあってラーションに見えた。7番は左ウイングだったが。
ハイファは、緑。背中のスポンサーはSONY


席の都合上、ハイファを応援してたのだが、ハイファの方が強い。
特に、左は圧倒的で、テルアビブの右はチンチンにやられてたんだが、これが仇に。
いつも通り、ドリブルでぶっちぎって抜け出しそうになったハイファのウイングを、テルアビブがシャツを思いっきり引っ張って止める。逆サイにいた俺の目にも判ったくらい思いっきり引っ張る。
それにブチ切れたハイファのウイングが、ヒジを入れる。
まってましたとばかりにおおげさに倒れるテルアビブ。


なんだよー。それ。
ジャッジはハイファが一発レッド。テルアビブがイエロー。


それでも、その後もハイファの攻勢が続いてたんだが、またもやられたよ。これが。
ハイファ陣内に攻め込んだテルアビブ。ハイファの選手がボールホルダーにスライディングタックル。ハイファはジャンプして躱したんだが、これがいかにもひっかけれらたように倒れて大袈裟に演技。(俺のいたサイドだったんで、スライディングがまったく触っていないのは見えた)


ファール&イエローの判定に、スライディングした選手はブチ切れ。演技して倒れてるテルアビブの選手に対して何か罵る。


そこからのFK。一発ヘッドでテルアビブ先制。


それでも前半はハイファが押し気味で終了。
後半に入ると、テルアビブがゆっくりボールを回す。これをやられるとハイファは1人少ないぶんキビシイんだが、それでもシュートはハイファの方が多かった。(まあ、テルアビブが引き気味になったんで当然なんだが)
結局1-0でテルアビブ。ゲーム自体は、面白かったんでOK。


バスターミナルに戻って、0:30。バスは満席。どう控えめに見ても、銃砲所持者5名以上。隣は韓国人の♀。
満席ながら途中からも乗客が乗り込んできて、通路に座ったり、寝たりしてる。ここはこういう国だったのか。パキスタンじゃないぞ。


ビジネスは勿論、寝台列車でも眠れない俺様が夜行バスで眠れるハズもなく、5:00エイラット着。
ターミナルで夜明けを待つ。
朝一番の国境行きのバスは8:00発。
韓国人の彼女は、ビザを取らないと行けないとのこと。


国境に着いたのが8:30くらい。出国なんやからどうでもええやん、と思いながら下らん質問に答えてイスラエル出国。エジプト入国審査も終わって、9:30前にはエジプト入国。


荷物背負って、国境からターバーの街まで1km歩く。異常に暖かいせいもあって、汗びっしょり。エイラットから国境までのバスはずっと海岸線を走ったのだが、朝1本目でビーチエントリーであろうダイバーが浮いてるのも見えたりして、そうだ、ここは紅海なのだ。
すげー潜りたい気分。
しかし、これだけは調べてきたんだが、この時期の水温は20度。これはカナーリ寒いぞ。ということで、今回は潜りの準備は何もしてない。死海用に持ってきた水着だけ。イスラエルで会った奴には、なんで紅海で遊ばないんだ?と言われたんだが。
それでも絶対に見たら行きたくなると思って、そもそもそれで北の国境を越えて、紅海は完全パスするつもりだったのに。。。


10:30のバス。砂漠のシナイ半島をぶっとばす。時折、車内もホコリがモウモウ。
4時間くらいでスエズ運河。しかし、トンネルだったんで運河は見えなかった。ちょっとガックリしながらも、一応アフリカ大陸に上陸。(もっともインチキ気味にモロッコに行ったことがあるんで、まったくの初上陸というワケでもないが)


17:30、やあああっとカイロのバスターミナル着。長かったなあ。エルサレムから。
今回の旅で、こんなにヘヴィな移動をすることになるとは思ってなかったぞ。


しかし、さらに続きがあって、例のごとく、タクシーの運転手に包囲される。
ここの運転手がタチ悪い(もっともタチの良いタクの運転手なんて、そうそういないが)というのは知ってたんで、無視。広場まで20kmあるぞ!とか言ってたが。


現在地がまったくワカランながらも通りに出て、標識を頼りにして推測。ちょっと歩くと確信に変わる。目指すホテルがある地域まで3kmくらいか。歩いて歩けなくはないが、チト辛い。バスがあれば乗ろう。
しかし、バスがつかまらん。そもそも満員じゃあ。
1kmくらい歩いてメトロ駅ハッケン。よし、これだな。これ。
いい加減疲れてる。荷物、おもい。おもすぎ。別に何かが増えたワケでもないんだが、今日はおもいぞ。おもく、かんじる。


メトロの切符売り場。1ポンド札を出す。突っ返される。どうも汚い札だからダメと言ってるらしい。あるんだよな。こういうの。インドとか。インドとか。インドで。でもどっかで押し付けないといけないし、そもそもそんなに汚い札じゃないので、こっちももう一度突き返す。突き返される。
双方意地になって突き返しあう。後ろが待っていようが、関係ナシ。
こっちもキレそうになりながら、ぜってー引き下がんねーぞ、このおっさんにぜってー受け取らせる、と思いつつ
「なんでダメなんだよ。受け取れよ」
というんだが、窓口のおっさんも受け取ろうとしない。この間、多分1分くらい。
ついに俺がブチ切れて
"WHY NOT!!! ACCEPT THIS NOTE!!!!"
と大声で吠えた。ホール全体に響いた。大勢の一般エジプト人の中で。
おっさん、キチガイ黄色人種を相手にビビったのか、やっと受け取りやがった。
「こっちも疲れてるんだからよ。さっさと受け取れよバーカ」(ここは日本語)



OK。俺も大人げなかった。認める。でも疲れてたんだ。それに俺もまだ若いんだ。



第一候補の一軒目。満室。
さらに第二候補まで10分歩く。満室。
ただ、この第二候補の前に見た、同じビルのホテルがあって、そこは空室があったんでもうそこに泊まることにする。
もうね。ぐったり。ぐったり。トシだな。。。


モーゼとその一団はこの1000倍くらい大変だったんだろうけど。