District 9

制作費が3000万ドルということで、ああ、確かにお金かかってないんだなあ、感がアリアリ。
「エビ」はまるでショッカーの怪人みたいだし、話の展開も含めて終始B級映画のノリ。
持てはやされているのは「3000万ドルの割には面白い」という部分が多分にあるんじゃないかと。
3年以内くらいに続編として"District 10 〜The Prawns strikes back〜"が作成される可能性は極めて高いと思うけど、「予算をつぎ込んだ割にはつまらない」となる可能性も極めて高いと思う。



「生きて、語り伝える」ガブリエル・ガルシア=マルケス
ゴールデンスランバー A MEMORY」伊坂幸太郎
「森に眠る魚」角田光代
「完全なる証明 100万ドルを拒否した天才数学者」マーシャ・ガッセン
「褐色の文豪」佐藤賢一
「川は静かに流れ」ジョン・ハート
「絶対帰還。」クリス・ジョーンズ
「廃墟に乞う」「巡査の休日」佐々木譲
「国境とは何だろうか」鶴見俊輔
虐殺器官伊藤計劃
チャイルド44トム・ロブ・スミス
「神無き月十番目の夜」飯嶋和一
「ほかならぬ人へ」白石一文
「昭和二十年夏、僕は兵士だった」梯久美子
「ザ・ペニンシュラ・クエスチョン」船橋洋一


ちょっと、伊坂幸太郎は、凄いね。日本最高の作家の1人だと思う。
で、佐々木譲もそうだけど、佐々木譲は札幌物、伊坂幸太郎は仙台物。
博多物を書くご当地作家がいないというのは、地元民としてちょっと寂しいと思った。


・ドン・ラモン師匠の前でフォークナーについて一節ぶってしまったことに気がついて恐れていると、「心配しなさるな、ガビート」と彼は動じることなく答えた。「もしフォークナーがバランキーヤにいたなら、このテーブルに加わっているさ」
・その中では『宝島』と『モンテ・クリスト伯』が、あのがたがた揺れた数年間の私にとって麻薬のようなものだった。私は次の行で何が起こるのか知りたくて一文字一文字を貪ったが、同時に、魔法が破られないように次の展開を知らないでおきたいという思いに引き裂かれていた。『千一夜物語』とともにこの二冊の本を通じて、私は永遠に忘れない教訓として、人はもう一度読みたいと攻めたてられるような本だけを読むべきだ、ということを学んだのだった。
・そのころの私は、シェヘラザードが語る驚異が、彼女の時代には日常の中で実際に起こっていたのだと考えていて、それ以後の時代の、リアリズムばかり重視するようになった人たちの疑い深さ、勇気のなさのせいで、そうした出来事は起こらなくなってしまったのだ、と思っていたのである。それゆえに私には、絨毯に乗って町や山の上を飛ぶとか、カルタヘーナ・デ・インディアスの奴隷が罰として二百年瓶の中に閉じ込められる、といったことを現代の人間がふたたび信じるのは、不可能だと思われた。そのためには、読者にそれを信じさせる力がその物語の作者になければならないのだ。
・反乱派の赤い腕章をつけた数名の警官が私と弟のすぐ近くで一斉にライフルを撃ち、その衝撃が胸の中に鳴り渡って私は息ができなくなった。そのとき以来、私はライフルが音だけでも人を殺すことができると信じている。